日本酒度がマイナス側に傾き、残糖分が多く甘みを感じやすい味わいのこと。日本酒度が−3以下を目安に「甘口」と表現されることが多い。酸度との兼ね合いでも印象が変わる。
醪(もろみ)を搾る際に最初に流れ出る酒のこと。圧力をかけずに自然に落ちてくる部分で、フレッシュで発泡感があり、個性的な風味が強い。「あらばしり」と表記されることも多い。
日本の伝統的な容量単位。1合=約180mL。居酒屋などで注文する際の一般的な単位として使われる。1升(しょう)=10合=約1.8L。
甘くも辛くもなく、旨味が豊かに感じられる味わいを表す言葉。明確な公式定義はないが、甘辛の中間でコクがある酒を指すことが多い。近年、旨口を謳う酒が増えている。
醪(もろみ)の仕込みに使う蒸し米のこと。麹を造るために使う「麹米(こうじまい)」と区別される。三段仕込みでは初添・仲添・留添の各段で掛け米を加える。
日本酒度がプラス側に傾き、残糖分が少なくすっきりした味わいのこと。日本酒度が+3以上を目安に「辛口」と表現されることが多い。酸度が高いとさらにドライな印象になる。
寒冷な冬季(主に12〜2月)を中心に行う日本酒の醸造。気温が低いため雑菌が繁殖しにくく、発酵がゆっくり進むことで品質が安定しやすいとされる。多くの蔵が採用している季節醸造の代表的形態。
蒸した米などに麹菌(Aspergillus oryzae)を繁殖させたもの。麹菌が生成する酵素(アミラーゼなど)が米の澱粉を糖に分解し、酵母がアルコール発酵できる環境をつくる。日本酒醸造の根幹をなす。
糖をアルコールと二酸化炭素に分解する単細胞の微生物。日本酒の香りや味わいを大きく左右する。日本醸造協会(醸協)が培養・頒布する「協会酵母」が広く使われており、9号酵母・1801号酵母などが有名。
長期間熟成させた日本酒の総称。一般的に3年以上熟成したものを指すことが多く、琥珀色を帯び、独特の芳醇な香りと深い旨味をもつ。「熟成古酒」「長期熟成酒」とも呼ばれる。
蒸した白米に麹菌を繁殖させたもの。日本酒・味噌・みりん・甘酒など多くの発酵食品の基礎となる。清酒の製造では、使用する米のうち麹米が占める割合(麹歩合)が重要な品質指標となる。
酵母を大量に培養した液体で、醪の仕込みに使う。「もと」とも呼ぶ。雑菌が繁殖しないよう乳酸によって酸性環境を作りながら酵母を増殖させる。製法により速醸・生酛・山廃などに分かれる。
発酵が完了した醪(もろみ)から酒液を固体(酒粕)と分離する工程。「上槽(じょうそう)」とも呼ぶ。搾り方によって荒走り・中取り・責め(せめ)の3つの部位に分けられる。
米・米麹・水だけで造られた清酒。醸造アルコールを一切添加しない。国税庁の定義では精米歩合の規定はなく(改正後)、米の旨味や深みが出やすい。ラベルに「純米」と表示できる。
精米歩合60%以下の白米を使い、低温でゆっくり発酵(吟醸造り)させた清酒。酢酸イソアミルなどが生成される「吟醸香」と呼ばれる果実のような香りが特徴。精米歩合50%以下のものは「大吟醸」となる。
玄米を精米した後に残る白米の重量割合(%)。精米歩合60%とは玄米の外側40%を削り、60%が残った状態を意味する。数値が低いほど多く磨いており、雑味が少なく繊細な味わいになりやすい。特定名称酒の区分基準の一つ。
火入れ(加熱殺菌)を一切行わない清酒。通常、清酒は出荷前に2回火入れを行うが、生酒は0回。フレッシュで活き活きとした風味があるが、品質変化が速いため要冷蔵管理が必須。「生生(なまなま)」ともいう。
江戸時代から続く伝統的な酒母製法。蒸し米・麹・水を混ぜ、「山卸し(すりかき)」と呼ばれる擂り潰し作業を行いながら、空気中の乳酸菌を自然に取り込んで酸性環境をつくる。手間がかかるが、酵母が強くなり乳酸発酵由来のコクと複雑味が生まれる。
醸造用乳酸を直接添加して酒母を短期間(約2週間)で造る製法。大正時代に開発され、現在の清酒製造の主流。生酛・山廃と比べて安定した品質が得られ、コストを抑えやすい。「速醸酛(そくじょうもと)」の略称。
酒蔵で醸造を統括する最高責任者。仕込みから搾りまでの製造工程全般を指揮・管理する。かつては南部杜氏(岩手)・越後杜氏(新潟)など産地別の流派があった。近年は蔵元自身が杜氏を兼ねるケースも増えている。
純米酒のうち、精米歩合60%以下のもの、または特別な醸造方法(要説明表示)を用いたもの。国税庁が定める特定名称酒8種類の一つ。純米酒よりワンランク上の位置付け。
国税庁が「清酒の製法品質表示基準」で定める品質区分の総称。純米酒・特別純米酒・純米吟醸酒・純米大吟醸酒・本醸造酒・特別本醸造酒・吟醸酒・大吟醸酒の8種類がある。それぞれ原料・精米歩合・製法に基準が設けられている。
醪を酒袋に入れて吊るし、自然に垂れてくる酒を斗瓶(18L入りの大型瓶)で受け取る搾り方法。圧力をかけないため雑味が少なく、繊細で上品な味わいになる。大吟醸など高品質の酒に採用されることが多い。
搾りの工程で荒走りの後、責め(最後)の前に採取される酒の部分。「中汲み」とも呼ぶ。フレッシュすぎず、雑味も少なく、最もバランスが取れているとされる。蔵の代表銘柄に使われることが多い。
日本酒の甘辛を数値で示す指標。4℃での酒の比重を水(±0)と比較して算出する。糖分が多いと比重が重くなりマイナス(甘口)、糖分が少ないと軽くなりプラス(辛口)となる。あくまで目安であり、酸度や旨味との組み合わせで実際の味わいは変わる。
醪を粗い布などで濾して固形物(酒粕)を粗く取り除いた白濁した清酒。米の旨味や甘みが残りやすく、活性にごり酒は瓶内で発酵が続き炭酸感もある。「濁酒(どぶろく)」は清酒ではなく醸造酒の別区分。
単一の酒蔵のみで醸造した純米酒に使用できる任意表示。複数の蔵でつくったものや醸造アルコールを添加したものには使えない。「一つの蔵で完結した純粋な酒」を意味する。
清酒を約60〜65℃に加熱して殺菌する工程。酵素の働きを止め、酒質を安定させるために行う。通常、貯蔵前と出荷前の2回実施する(2回火入れ)。1回のみのものは「生詰め」「生貯蔵酒」と呼ぶ。
搾った後に加水(和水)していない清酒。通常の清酒は出荷前に加水してアルコール度数を15〜16度前後に調整するが、原酒はそのままのため17〜20度程度と高め。濃醇でインパクトのある味わいになる傾向がある。
冷やして飲む日本酒の総称。一般的には10℃以下で供する。温度帯によって「雪冷え(5℃)」「花冷え(10℃)」「涼冷え(15℃)」などと呼び分ける表現もある。吟醸・大吟醸など香りを楽しむ酒に向く。
精米歩合70%以下の白米と、規定量以内の醸造アルコールを使用した清酒。添加できる醸造アルコールは白米1トンあたり116L以下(重量の10%以下)と定められている。すっきりとした飲みやすい味わいが特徴。
醪の仕込みを「初添(はつぞえ)・仲添(なかぞえ)・留添(とめぞえ)」の3回に分けて行う醸造法。一度に全量を加えると酵母が薄まり発酵が不安定になるため、段階的に加えることで安定した発酵を促す。国税庁の規定で清酒製造の標準製法とされている。
炭素(活性炭)などによる濾過処理をしない清酒。濾過することで色素や雑味成分を除去するが、無濾過では自然な色味や旨味成分・香り成分が残り、個性的で複雑な味わいになる。「無濾過生原酒」は火入れも加水もしないため最もダイレクトな味わいが楽しめる。
精米・洗米・浸漬した白米を蒸籠(せいろ)や連続蒸米機で蒸したもの。麹菌を付けて麹を造ったり、醪の原料として加えたりする。蒸し加減(外硬内軟・外柔内硬)が以降の工程の品質を左右する重要な工程。
酒母に蒸し米・麹・水を加えて発酵させているもの(仕込み中の液体全体)。三段仕込みで約20〜30日かけてアルコール発酵が進む。発酵が完了した醪を搾ることで清酒が得られる。日本酒造りの中核をなす工程。
生酛系酒母のうち、「山卸し(やまおろし)」と呼ばれる米を擂り潰す作業を廃止して造る製法。「山廃酛(やまはいもと)」の略称。明治44年(1911年)に醸造試験所が考案した。山卸しがなくても自然乳酸菌による酸性化は進むことがわかり、手間を省きながら生酛に近い複雑な味わいが得られる。
日本を代表する酒造好適米(酒米)。昭和11年(1936年)に兵庫県農事試験場で育成された。心白(でんぷん質の多い中心部)が大きく、麹菌が溶けやすいため繊細で高品質な酒に向く。吟醸・大吟醸酒を中心に全国で広く使われる。生産量の約80%は兵庫県産。
岡山県生まれの酒造好適米。現在栽培される酒米の中で最も古い品種の一つで、山田錦や五百万石の親にあたる。穂が長くて倒れやすいなど栽培が難しいが、独特の旨味とふくらみのある濃醇な酒になりやすい。「備前雄町」が特に有名。
燗をしない常温の日本酒のこと。一般的には15〜20℃程度を指す。「冷たい酒」という意味ではなく、温めていない状態全般を指す。「ひとはだ燗(30℃前後)」や「ぬる燗(40℃)」と対比して使われる。
温めた日本酒の総称。温度によって「日向燗(30℃)・人肌燗(35℃)・ぬる燗(40℃)・上燗(45℃)・熱燗(50℃)・飛び切り燗(55℃以上)」と呼び分ける。温めることで旨味や香りが広がり、後味がキレやすくなる効果もある。
搾った原酒に仕込み水などを加えてアルコール度数や味わいを調整する作業。「割水(わりみず)」とも呼ぶ。通常、出荷前に17〜18度程度の原酒を15〜16度程度まで調整する。加水の量が多いほど軽やかになり、少ないほど濃醇になる傾向がある。
原酒に水を加えてアルコール度数を下げる作業。「和水(わみず)」とほぼ同義で使われる。仕込み水と同じ水を使うことが多い。割水をしない場合は「原酒」として出荷できる。